ピノキヲストア
詩・小説展示ブログ
February 05
「中央が動き出したようだね」
「そうですね~」「そのようです」
暗室に三人の影。薄暗く光るのは、水晶に映し出された彼ら。
「彼女が来たら、丁重に連れてきてくれる?」
「りょ~か~い」「はい、分かりました」
君主らしき人物と、その護衛。一人はあからさまにやる気なく、そしてもう一人は厳粛に応えた。
「でも、他の奴らも殺さない程度に扱ってくださいね」
よほどの自信が見られる言。
「え~」「・・・」
不気味にも、恐ろしい意味を含む返答。
彼等は、北の者。諸事情が一切不明で難攻不落。いつからあるのかも不明。昔から、この地を襲う、襲おうと思う人はいない。
「久ぶりの客人だ。どんな話が出来るのか楽しみだよ」
「ねえ~、アレ、使ってもいい?」
「うん、少しだけならね。でも、使いすぎないでよ?」
「あっぶないもんね~」
「彼らの反応が楽しみで御座います」
二つの影は静かに消える。
彼女はもう・・・。
後書の○○○○
白き夢の魔物、吾身を喰らいて糧とせん。
暗き道這い来る者、ソコナシへと導かん。
夢壊す者、道壊す者、御身を砕きて聖と成す。
我、神因り承りし杖振り翳し、天地を裂かん。
狭間より出でし者、混沌を以って天を地に堕とし、
破滅への鐘楼を打ち鳴らす。
ホロビ、木々を砂に変え、海を砂に変え、生をも砂に変える。
嗚呼、我は何と愚かな事を・・・。
ユルサルルならば、是の身を捧げよう。
ハメツ、猶も空を砂に変え、雲を砂に変える。
嗚呼、古の罪は赦されないのか。
アア、ソウダトモ。
漆黒の太陽、紅塵を撒き、灼熱の劫火で地を灰に、
歎きの銀月、凍て付く風を纏い、寒獄の焔を燃やす。
吾が名は――。
前書き
さてどこからだったでしょうかねぇ。はは、忘れてしまったよ。
「あの、フザケナイデくれますか?冗談でしょう?」
えっと、君は?誰だっけ?
「北の者です。ちなみに名前も未だ貰っていません」
ああ、そういえば・・・。
「あったしのことも忘れているわけじゃないわよねぇ?」
ああ君は、キャラが明るいからよく覚えているとよ。
「・・・」
がたいがいいところ以外は、朧火とかぶってますねえ。
北の者勢揃いって所か?
「速く始めてくれないか?名前も速く付けてくれるとありがたい」
あー、はいはい、分かりましたよ。ではお楽しみください。
「・・・何も無い?」
修羅が見た物は、一面の荒野だった。
「ん?誰かいる。皆に気を付けろと」
其処には、おかしな服を着た二人がいた。黒衣の神父と現代風の少女(この世界では勿論おかしな格好)がいた。
「全員警戒!」
焔が叫ぶ。
「名を名乗れ!」
修羅が怒鳴る。彼等は、無言のまま(少女はにこにこと)近づいてくる。相手は、武器を持っていない。従って、修羅も一人前へと出た。
「気がつよーい子だねぇ」「悪かったわね。こちらの質問に応えろ」
「いいけど。あたしはぁ、槐(えんじゅ)こっちのふつーに無口なのは、石蕗(つわぶき)」
「・・・来てもらう」
そういって、石蕗と呼ばれた男は、瞬く間に消えてしまった。姫を連れて。あ、そういえば、しゃべったねこの人。
「何処にやった!」
焔が叫ぶ。槍を構えて、前に出る。
「うちの領主んトコ。おにーさん達は、あたしと遊ぶのだよ?」
「ふざけるな!貴様を倒して進む」
「おー、怖い。でも、全員で来てもいいよ。あたしはつよいんだぞー。」
キレた焔は、何かを唱え、槍に火焔を宿す。無口な朧火もこの状況は危険と悟り、両手に短刀を持ち、影のように彼女に切りかかった。
「おっとっと。あっぶないなぁ。じゃあいくよ!」
その頃、修羅は暗室に立っていた。
「ここは・・・!?誰だ!」
「おやおや、気の強い方ですね。然し、まずは自分から名乗るものでしょう?といっても、此処に来させたのは僕ですからねぇ、僕から言いましょう。僕は御伽、さて、君は修羅だね?いやぁ、お噂はかねがね聞いております。簡単に言うと、此方に来ないで欲しい。僕は、争いが好きではないのでね」
泰然と話している御伽と名乗る男は、抑揚のない声で、顔も見えない。
「嫌だ、といったら?」
御伽は、フッと笑って、
「そんなのは、無理だからこう言っているのですよ。まあ、是でも見てください」
ぼうっと画面が浮かび上がり、それで彼の顔が見えた。自分と同じかそれ以下の子供。
画面には何か小さい物が動いていた。しかし、其れが、彼等だとわかるまでに時間はかからなかった。そして、彼等が次々に他をされていくのが見えた。槐と名乗った少女に。
「どうして・・・何かの幻術か?」
「いや、今本当に起こっている事。さて、交渉の続きだ。僕等は中央に仕掛ける気はまったくない。
槐も倒してはいるが怪我らしい傷は負わせていない。と思う。僕等は、この世界には不釣合いな力を持っていてね。というか、この世界の者じゃないんだ。『観察者』と言うんだ。北は僕らが来るまでは領土すら存在していなかった。――そういうことで、諦めてくれないか?条件を飲むなら、いい事を教えよう。断った場合は、如何しようか?そうだね、どうなっても知らないよ?」
「・・・覚悟はあった。仲間を見捨てても進む・・・。然し、何の利益なしに是だけのものと亡くすのは・・・。分かった。条件を飲む」
「ありがとう御座います。では良い事を教えましょう。君の夫が危ないですよ」
「なっっ!」
修羅の顔は、将に驚愕だった。
「槐、石蕗。移動魔術用意。姫様、御武運を祈ります。今日は楽しかったですよ。あなたに惚れてしまいました。また来て貰えると幸いです。では・・・」
一方、修羅の兵達は、焔、朧火を加え、全て倒されていた。
「何だ・・・あれは」
槐が持っていた物は、紛れもなく注射器。其れだけならまだしも、彼女は異様な光景を見せていた。
「あはは!あったんないよ~」
と、軽く姫の側近に注射を打ち込んで行った。
「槐特製の麻痺毒なのだ~。ははは~!我に膝まづくのだ~!」
「・・・?ほえ?連絡が・・・。あー、はいはい。わかりましたー」
なにやら話しているようだ。そして、大柄な男は、兵達を一箇所に集め、女の方は、何かを書き始めた。
「・・・完了」「オッケィ!」
「空間移動、発動」
目の前の景色が変わった。城下。兵もいる。
「姫、御無事でしたか、よかった・・・」
「姫、何か箱がありました。御伽より、と書いてありますが、如何しますか?」
「明けてみろ。害は無い」
修羅は、その箱を開けさせた。中には、更に小さな箱が二つ。お守りらしき物が一つ。そして紙が一枚入っていた。紙には、
「結婚祝いです。受け取ってください。こちらにはそういう習慣が無いみたいですからね『指輪』と言う物です。もう一つはお守りです。南にいくときに必ずもって行って下さい。きっと役に立つでしょう。 御伽」
と、書かれていた。
信用は出来ないが、今はそんなことを考えている暇は無い。
「動ける者は、南への出陣用意!是より、琥露奈の援護に向かう」
間に合ってくれ・・・。切実な思いが心に木霊した―。