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2007 
February 05

「中央が動き出したようだね」

「そうですね~」「そのようです」

 暗室に三人の影。薄暗く光るのは、水晶に映し出された彼ら。

「彼女が来たら、丁重に連れてきてくれる?」

「りょ~か~い」「はい、分かりました」

 君主らしき人物と、その護衛。一人はあからさまにやる気なく、そしてもう一人は厳粛に応えた。

「でも、他の奴らも殺さない程度に扱ってくださいね」

 よほどの自信が見られる言。

「え~」「・・・」

 不気味にも、恐ろしい意味を含む返答。

 彼等は、北の者。諸事情が一切不明で難攻不落。いつからあるのかも不明。昔から、この地を襲う、襲おうと思う人はいない。

「久ぶりの客人だ。どんな話が出来るのか楽しみだよ」

「ねえ~、アレ、使ってもいい?」

「うん、少しだけならね。でも、使いすぎないでよ?」

「あっぶないもんね~」

「彼らの反応が楽しみで御座います」

 二つの影は静かに消える。

 彼女はもう・・・。

 

 

  後書の○○○○

 白き夢の魔物、吾身を喰らいて糧とせん。

 暗き道這い来る者、ソコナシへと導かん。

 夢壊す者、道壊す者、御身を砕きて聖と成す。

我、神因り承りし杖振り翳し、天地を裂かん。

 狭間より出でし者、混沌を以って天を地に堕とし、

破滅への鐘楼を打ち鳴らす。

 ホロビ、木々を砂に変え、海を砂に変え、生をも砂に変える。

 嗚呼、我は何と愚かな事を・・・。

ユルサルルならば、是の身を捧げよう。

 ハメツ、猶も空を砂に変え、雲を砂に変える。

 嗚呼、古の罪は赦されないのか。

 

アア、ソウダトモ。

 

 漆黒の太陽、紅塵を撒き、灼熱の劫火で地を灰に、

 歎きの銀月、凍て付く風を纏い、寒獄の焔を燃やす。

 吾が名は――。

 

 前書き

 さてどこからだったでしょうかねぇ。はは、忘れてしまったよ。

「あの、フザケナイデくれますか?冗談でしょう?」

 えっと、君は?誰だっけ?

「北の者です。ちなみに名前も未だ貰っていません」

 ああ、そういえば・・・。

「あったしのことも忘れているわけじゃないわよねぇ?」

 ああ君は、キャラが明るいからよく覚えているとよ。

「・・・」

 がたいがいいところ以外は、朧火とかぶってますねえ。

 北の者勢揃いって所か?

「速く始めてくれないか?名前も速く付けてくれるとありがたい」

 あー、はいはい、分かりましたよ。ではお楽しみください。

 

 

「・・・何も無い?」

 修羅が見た物は、一面の荒野だった。

「ん?誰かいる。皆に気を付けろと」

 其処には、おかしな服を着た二人がいた。黒衣の神父と現代風の少女(この世界では勿論おかしな格好)がいた。

「全員警戒!」

 焔が叫ぶ。

「名を名乗れ!」

 修羅が怒鳴る。彼等は、無言のまま(少女はにこにこと)近づいてくる。相手は、武器を持っていない。従って、修羅も一人前へと出た。

「気がつよーい子だねぇ」「悪かったわね。こちらの質問に応えろ」

「いいけど。あたしはぁ、槐(えんじゅ)こっちのふつーに無口なのは、石蕗(つわぶき)」

「・・・来てもらう」

 そういって、石蕗と呼ばれた男は、瞬く間に消えてしまった。姫を連れて。あ、そういえば、しゃべったねこの人。

「何処にやった!」

 焔が叫ぶ。槍を構えて、前に出る。

「うちの領主んトコ。おにーさん達は、あたしと遊ぶのだよ?」

「ふざけるな!貴様を倒して進む」

「おー、怖い。でも、全員で来てもいいよ。あたしはつよいんだぞー。」

 キレた焔は、何かを唱え、槍に火焔を宿す。無口な朧火もこの状況は危険と悟り、両手に短刀を持ち、影のように彼女に切りかかった。

「おっとっと。あっぶないなぁ。じゃあいくよ!」

 

 その頃、修羅は暗室に立っていた。

「ここは・・・!?誰だ!」

「おやおや、気の強い方ですね。然し、まずは自分から名乗るものでしょう?といっても、此処に来させたのは僕ですからねぇ、僕から言いましょう。僕は御伽、さて、君は修羅だね?いやぁ、お噂はかねがね聞いております。簡単に言うと、此方に来ないで欲しい。僕は、争いが好きではないのでね」

 泰然と話している御伽と名乗る男は、抑揚のない声で、顔も見えない。

「嫌だ、といったら?」

 御伽は、フッと笑って、

「そんなのは、無理だからこう言っているのですよ。まあ、是でも見てください」

 ぼうっと画面が浮かび上がり、それで彼の顔が見えた。自分と同じかそれ以下の子供。

 画面には何か小さい物が動いていた。しかし、其れが、彼等だとわかるまでに時間はかからなかった。そして、彼等が次々に他をされていくのが見えた。槐と名乗った少女に。

「どうして・・・何かの幻術か?」

「いや、今本当に起こっている事。さて、交渉の続きだ。僕等は中央に仕掛ける気はまったくない。

槐も倒してはいるが怪我らしい傷は負わせていない。と思う。僕等は、この世界には不釣合いな力を持っていてね。というか、この世界の者じゃないんだ。『観察者』と言うんだ。北は僕らが来るまでは領土すら存在していなかった。――そういうことで、諦めてくれないか?条件を飲むなら、いい事を教えよう。断った場合は、如何しようか?そうだね、どうなっても知らないよ?」

「・・・覚悟はあった。仲間を見捨てても進む・・・。然し、何の利益なしに是だけのものと亡くすのは・・・。分かった。条件を飲む」

「ありがとう御座います。では良い事を教えましょう。君の夫が危ないですよ」

「なっっ!」

 修羅の顔は、将に驚愕だった。

「槐、石蕗。移動魔術用意。姫様、御武運を祈ります。今日は楽しかったですよ。あなたに惚れてしまいました。また来て貰えると幸いです。では・・・」

 

 一方、修羅の兵達は、焔、朧火を加え、全て倒されていた。

「何だ・・・あれは」

 槐が持っていた物は、紛れもなく注射器。其れだけならまだしも、彼女は異様な光景を見せていた。

「あはは!あったんないよ~」

と、軽く姫の側近に注射を打ち込んで行った。

「槐特製の麻痺毒なのだ~。ははは~!我に膝まづくのだ~!」

「・・・?ほえ?連絡が・・・。あー、はいはい。わかりましたー」

 なにやら話しているようだ。そして、大柄な男は、兵達を一箇所に集め、女の方は、何かを書き始めた。

「・・・完了」「オッケィ!」

「空間移動、発動」

 

 目の前の景色が変わった。城下。兵もいる。

「姫、御無事でしたか、よかった・・・」

 

「姫、何か箱がありました。御伽より、と書いてありますが、如何しますか?」

「明けてみろ。害は無い」

 修羅は、その箱を開けさせた。中には、更に小さな箱が二つ。お守りらしき物が一つ。そして紙が一枚入っていた。紙には、

「結婚祝いです。受け取ってください。こちらにはそういう習慣が無いみたいですからね『指輪』と言う物です。もう一つはお守りです。南にいくときに必ずもって行って下さい。きっと役に立つでしょう。     御伽」

と、書かれていた。

 信用は出来ないが、今はそんなことを考えている暇は無い。

「動ける者は、南への出陣用意!是より、琥露奈の援護に向かう」

 間に合ってくれ・・・。切実な思いが心に木霊した―。

 

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